宗教について 〜 人の生と死を考える 注54'

公開: 2023年3月20日

更新: 2023年4月12日

注54'. 倫理

倫理という言葉の概念は、古くからの日本語にはありませんでした。倫理という言葉が造られたのは、明治時代のことです。ヨーロッパや米国から、新しく入って来た哲学用語の一つを翻訳する時に、考え出された言葉の一つです。英語の原語は、"ethics"と言う言葉です。この言葉は、元々、英語の言葉ではなく、ギリシャ語の文献を翻訳するために造られた新しい言葉です。その語源は、古代ギリシャ語の「エティカ」でした。古代ギリシャの哲学者、ソクラテスが重要視した哲学の概念です。

19世紀までの日本人は、そのような言葉を知らず、多分、気にもしていなかったと思われます。江戸時代の言葉で、意味の近いものには、「徳」や「道」などがありますが、これらは社会的な地位と密接に関係しているので、異なる意味を持っていました。そのため、「倫理」と言う、新しい言葉が生み出されました。現代の日本語では、「道徳」が倫理に近い意味を持っています。

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